精神科医や心理学者の間では、このブームを「安全な領域からのストレス解消メカニズム」として捉える見方が強い。不確実でストレスの多い現代社会において、人間は予期せぬリスクに対して過剰な不安を抱きがちだ。しかし、画面の中で提供される不気味さは、自らの意思でいつでもアプリを閉じれば遮断できる「コントロール可能な恐怖」である。
脳科学の観点からも、恐怖を感じた直後に「これはフィクションだ」と認識することで、アドレナリンの放出後に深いリラックス状態が訪れることが知られている。後味の悪い余韻をわざわざ味わうことで、現実の日常が持つ平凡さや安全さを再確認する心理的防衛機構が働いているのだ。