地方卸売市場に併設された食堂といえば、かつては市場関係者のための簡易な給食所という位置づけが強かった。しかし、昨今の外食産業を取り巻く環境変化や、本物のローカル体験を求めるフードツーリズムの高まりによって、その存在価値は劇的に塗り替えられている。飾り気のないパイプ椅子、壁一面に手書きされた短冊メニュー、そして市場特有の喧騒。これらすべてが、唯一無二の旅の目的地としての魅力を放ち始めている。
なかでも市場食堂 城南店が放つ求心力は凄まじい。流通の中継地である市場の利点をフルに生かし、水揚げからわずかな時間しか経っていない魚介類がそのまま厨房へと直行する。中間コストを削ぎ落とし、圧倒的な鮮度と値頃感で大手チェーンを凌駕するスタイルは、現代の外食シーンにおいて極めて稀有なポジションを確立している。