かつて配信サービスの台頭によって絶滅寸前と囁かれた実店舗が、いまやカルチャーの最前線として息を吹き返している。牽引しているのは、サブスクネイティブと呼ばれる10代から20代のリスナーたちだ。彼らにとって、ジャケットを手にとってアートワークを眺め、盤面の手入れをしてターンテーブルに乗せる一連の作法は、消費スピードの速すぎる日常に対する贅沢なアンチテーゼとなっている。
この潮流を受けて、ターンテーブルやカートリッジ、フォノイコライザーなどの機器を手がけるアナログオーディオ産業も異例の活況を呈する。大量生産・大量消費のデジタルデータとは異なり、一枚のヴァイナルレコードを所有すること自体が、自己表現やアーティストへの直接的な支援という強い意味を持つようになった。