説は大きく分けて二つある。ひとつは、1648年のイングランド内戦時、コルチェスターの戦いで城壁に据え付けられていた巨大な大砲の名が「ハンプティ・ダンプティ」だったという説だ。敵の砲撃で壁ごと崩れ落ちたこの大砲は、いくら兵士を集めても二度と修理できなかったという。ミリタリーマニアや一部の歴史家が長年支持してきたシナリオだ。
しかし2026年、オックスフォード大学の研究チームが発表した文書は、まったく異なる視点をもたらした。当時流行した政治風刺劇の脚本に、国王チャールズ1世の無残な権力喪失を例えた隠語として登場していたというのだ。兵士も馬も、失われた威信を取り戻すことはできない。歴史のうねりの中で砕け散ったのは、鉄の塊ではなく一国の絶対権力だったのかもしれない。