白倉トンネルをはじめとする全国の「都市伝説・廃隧道」には、共通する歴史的背景が存在する。高度経済成長期からそれ以前にかけて掘削された旧道トンネルは、バイパス道路の開通や崩落リスクによって順次閉鎖されてきた歴史を持つ。
人が行き交う役割を終え、人影が消えた空間は、時を経るごとに「忘れ去られた場所」として人々の想像力を掻き立てる。特に山間部の厳しい環境下で建設されたトンネルでは、過酷な工事の記録や事故の記憶が口伝で尾ひれがつき、過激な都市伝説へと変貌を遂げていくケースが少なくない。人々の記憶から取り残された構造体が、恐怖を呼び寄せる触媒となる仕組みだ。