アメトラの装いにおいて、ネット上の情報でしばしば混同されているのが「レジメンタルタイ(ストライプ柄ネクタイ)の向き」です。
ネクタイのストライプには、明確な文化的・歴史的意味が存在します。英国の「レジメンタル(連隊旗)」に由来する英国式ストライプは、着用者から見て「左肩から右下がり(他者から見ると右肩上がり)」に線が走ります。これはかつて所属する部隊や名門クラブを示す識別票でした。
これを1920年代にアメリカへ持ち込んだブルックス ブラザーズは、英国の軍隊章との衝突を避け、自国の独自性を主張するためにストライプの向きを反転させました。すなわち、着用者から見て「右肩から左下がり(他者から見ると左肩上がり)」に流れるストライプこそが、生粋の「米国式レジメンタル(リバースストライプ)」です。アメトラの文脈で正統派のVゾーンを作る際、このストライプの傾きを理解しているかどうかは、愛好家の間での決定的なリテラシーの違いとなります。
また、「アメトラはカジュアルな私服である」という認識も不完全です。アメトラはアメリカのウォール街の金融マンや歴代大統領、法曹界のエリートたちが纏ってきた「信頼と実用のためのビジネス・エスタブリッシュメントウェア」であり、本来は極めてフォーマル度の高いドレスコードを内包している点を見落としてはなりません。