ネット上のレシピで頻繁に見かける「タレに30分以上漬け込んでから焼く」という手順。実はこれこそが、生姜焼きをパサパサにしてしまう最大の誤解です。
肉を醤油主体の高濃度な塩分を含むタレに長時間浸すと、「浸透圧」の働きによって肉内部の細胞から水分(肉汁)が外へと流出してしまいます。その結果、焼いたときに肉が縮み上がり、まるでゴムのような硬い食感になってしまうのです。さらに、糖分の多いタレが肉の表面に過剰に付着した状態で加熱すると、肉に火が通る前にタレだけが焦げ焦げになり、苦味の原因となります。
プロが実践する漬け込み時間と焼き方の鉄則は次の通りです。
肉を漬け込むのは、焼く直前の「わずか3〜5分」、あるいは「下味には酒と少々の生姜汁のみを揉み込み、タレは一切漬け込まない」のが正解です。そして肉の両面に薄く小麦粉(または片栗粉)を茶こしで振るっておきます。この粉の膜が肉汁の流出を食い止める防壁となり、同時に後から投入するタレをスポンジのように吸い上げて完璧な一体感を生み出します。