沖縄の裏社会史を語る上で、長年にわたりカリスマ的指導者として君臨した富永清会長の存在を避けて通ることはできない。富永氏が主導した組織の統合は、血で血を洗う対立に終止符を打ち、県内ヤクザの一本化という極めて稀な歴史的転換点をもたらした。彼が築いた強固な集団指導体制は、本土巨大組織の攻勢を跳ね返す防波堤としての役割を担っていた。
富永氏の逝去後、組織の舵取りを引き継いだ仲本善栄体制のもとで、組織は新たな局面を迎えている。かつての武闘派路線から脱却し、内部摩擦を徹底的に抑え込む現実的な組織運営が求められるようになった。しかし、カリスマの不在は直系組長たちの求心力に微妙な揺らぎを生じさせ、幹部人事の刷新やシノギの再分配をめぐる水面下の駆け引きは、以前にも増してシビアな様相を呈している。