イーゼル(英語:easel)は、絵を描く際にキャンバスや画板を固定・支持するための自立式台座を指す言葉です。その語源はオランダ語の「ezel(ロバ)」に由来し、重い荷物を背負って人を助けるロバの姿になぞらえて命名されたと伝えられています。日本語では伝統的に「画架(がか)」と訳され、明治期の文学作品である尾崎紅葉の『むき玉子』(1891年)にも「蘭谿画布架(イイゼル)の坐に復りて」という記述が登場するなど、西洋画の普及とともに日本へ定着しました。
言葉の使い分けにおいて、「画架」と「イーゼル」に本質的な違いはありません。純粋な日本語表記か外来語かの差ですが、現在の商業現場や日常会話ではニュアンスの棲み分けが進んでいます。美大受験や絵画教室のアトリエで使われる専門用具を「画架」、店舗のメニュー立てや結婚式の展示什器全般を「イーゼル」と呼ぶ傾向が強まっています。
イーゼルの基本的な使い方は、下部にある受け台(下桟)に対象物を載せ、上部の押さえ具(上桟)で挟み込んで固定することです。しかし、制作現場で求められる「描き手の筆圧を跳ね返す剛性」と、店頭で求められる「通行人の視線を引きつける視認性」は相反するため、構造の分化が進んでいます。