なぜ、あれほどの人通りを誇る一等地から撤退せざるを得なかったのか。博多風龍上野店閉店の理由を紐解くと、単なる一店舗の売上減少にとどまらない、ファストフード型ラーメンチェーンが直面した深刻なビジネスモデルの転換点が見えてきます。
第1の要因は、固定費(家賃)と客席回転モデルのミスマッチです。上野駅至近の路面店は極めて高額な賃料が設定されています。風龍のストロングポイントは「低単価×超高速回転×高密度なカウンター席」でした。しかし、行動制限期間中の人流蒸発に加え、インバウンドや終電間際のサラリーマン需要が激変したことで、薄利多売モデルを維持するための絶対的な客数が一時的に損益分岐点を下回りました。
第2の要因は、2022年以降に激化したいわゆる「ステルスではない原価高騰」の波です。麺用の輸入小麦粉、スープの命である豚骨ガラ、さらには炊飯やスープ炊き出しにかかる都市ガス・電気代、物流費が2021年から2026年にかけて段階的に跳ね上がりました。席数が限られる小型店舗では、コスト増を客単価の上昇だけで吸収しきれず、本部判断として賃貸借契約の満了期に合わせた撤退が下されたというのが業界関係者の一致した分析です。