跡地が姿を変えた一方で、「藤原とうふ店」の灯火は完全に消えたわけではありませんでした。解体の報を聞きつけた群馬県吉岡町の私設複合ミュージアム「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」の館長・横田正弘氏が、貴重な文化遺産を後世に残すべく立ち上がったのです。
横田館長は建物の解体直前、店主遺族および解体工事業者と直接交渉を行い、店舗正面の木製看板、アルミサッシの引き戸、のれん、さらには店内で実際に使われていた豆腐製造什器に至るまで、主要な部材をすべて譲り受けました。そして同博物館の別館エリアに、間口から陳列棚まで当時の佇まいをミリ単位で再現した「藤原とうふ店」のファサードを再構築したのです。
店頭には、劇中仕様を徹底追求した白黒ツートンのスプリンタートレノ AE86の実車が常設展示されています。2026年の現在に至るまで、同館は頭文字D 聖地巡礼における最重要拠点として君臨し続けており、国内外からの年間来館者数は数十万人規模を維持。ファンの記憶と実物資料が見事な形で次代へと保存・継承されています。