F-22ラプターとF-35ライトニングIIの優劣を語るうえで、まず理解しなければならないのは、両機に課された開発コンセプトの根本的な隔たりです。外見こそ双発と単発という違いを除けば似通ったステルス形状に見えますが、設計思想の出発点はまったく別のベクトルを向いています。
F-22は、冷戦末期に旧ソ連のSu-27やMiG-29といった強力な制空戦闘機を完全に凌駕するため、「空中支配(Air Dominance)」のみを極限まで追求して開発されました。敵の領空深くに侵入し、敵戦闘機を一方的に撃墜して制空権を奪取することだけに最適化された純然たる迎撃・制空戦闘機です。
対するF-35は、空軍、海軍、海兵隊の異なる要求を単一の基本設計で満たす「統合打撃戦闘機(JSF)計画」から誕生しました。対空戦闘だけでなく、精密対地攻撃、洋上監視、さらには強力な電子戦能力までを1機でこなすマルチロール(多用途)機であり、何より「センサーフュージョン(複合センサー情報の統合)」によって戦場全体の情報を味方部隊へリアルタイム中継する情報ノードとしての機能が中核に据えられています。
冒頭のパイロットが例えた「ガラケーとスマートフォン」という言葉の真意はここにあります。通話(対空戦闘)の機能をとことん極限まで磨き上げた専用機がF-22であり、通話だけでなく無数のアプリを動かし、常時クラウドと接続して周囲の味方をアシストする多機能デバイスがF-35なのです。