では、鶏皮のカロリーは本当に太る唯一の元凶なのだろうか。高脂質と言われる一方で、実は糖質が実質ゼロである点を見逃してはならない。近年の肥満治療や栄養学研究において、体重増加の主たるトリガーとして警戒されているのは「脂質単体」ではなく、「高GI糖質と脂質の同時摂取」である。
生化学的なメカニズムを紐解くと、糖質を摂取した際に膵臓から分泌されるホルモン「インスリン」は、血中のブドウ糖を細胞に取り込ませるだけでなく、余剰エネルギーを中性脂肪として溜め込み、脂肪分解を強力にブロックする働きを持つ。つまり、高脂質な鶏皮を食べた際、同時に糖質を大量摂取していなければ、インスリンの急激な追加分泌は起きにくい。糖質を極限までカットして脂質を主要なエネルギー源とするケトジェニックアプローチにおいて、鶏皮が重宝される場面があるのはこのためだ。
逆に、ネット上で「鶏皮を食べたら一瞬で太った」と嘆く層を分析すると、決定的な共通項が浮かび上がる。甘辛い砂糖醤油のタレがたっぷり絡んだ焼き鳥を頬張り、キンキンに冷えたビールや甘いサワーで流し込み、締めに白米をかき混ぜる――。この瞬間、体内ではインスリンが大量分泌され、鶏皮由来の膨大な脂肪酸がそのまま体脂肪として蓄積される。鶏皮の食べ過ぎで太る本当の理由は、食材そのものの罪というよりも、「糖質過多な環境下で高脂質を流し込む」という食習慣のエラーにある。