南筑高校を語るうえで避けて通れないのが、各界で頂点を極めた突出した卒業生たちの存在です。
スポーツ界において世界にその名を轟かせたのが、柔道女子78キロ超級で五輪金メダルを手にした素根輝選手です。彼女が在学した南筑高校柔道部は、全国高校総体(インターハイ)や金鷲旗高校柔道大会で常に優勝候補として名が挙がる名門中の名門。素根選手は高校在学中から全日本クラスの大会で並み居る実業団選手を破る快挙を連発していましたが、当時の指導陣や稽古現場を取材した報道各社の記録からも、妥協のない徹底した基本反復と、精神的な自立を重んじる南筑の育成手腕が浮き彫りになっています。
一方で、カルチャー・芸能の世界に燦然と輝くのが、伝説のバンド「チェッカーズ」のフロントマンとして一世を風靡した藤井フミヤの出身高校という側面です。当時の特番インタビューや自著・手記で語られた「放課後に仲間と過ごした何気ない時間や、音楽に夢中になった日々の原点」という回想には、南筑高校が持つ型にはまりすぎない自由闊達な空気感が滲み出ています。
一見すると両極端に見える「五輪柔道のストイックな鍛錬」と「80年代ポップカルチャーの奔放な表現力」。この双方が同じ校舎から誕生した事実こそ、南筑高校の懐の深さを示しています。規律を重んじる強豪部活の熱量と、個々の個性を否定せず包摂するおおらかな土壌が、同校の部活実績と独自の校風を形作ってきたのです。