連載当時の誌面やWeb掲示板(5ちゃんねる、知恵袋、当時のXなど)における熱狂的な読者の声を取材・検証すると、透龍というラスボスに対する評価は賛否両論が激しく交錯していました。
議論の火種となった最大の要因は、東方家の長男である東方常敏(ひがしかたじょうびん)の突然の死亡です。常敏は、息子のつるぎに遺伝する不治の病「折り紙の呪い」を解くため、裏社会の岩人間たちと手を組みながら冷徹な策謀を巡らせていました。その葛藤と家族への歪んだ愛から、「彼こそが最終的なラスボスとして立ちはだかるのではないか」と確信していたファンが大多数を占めていたのです。
しかし物語は、その常敏をワンダー・オブ・Uの厄災によって一瞬で血に沈めました。洗面所での予期せぬ死に対して、読者コミュニティからは「あまりにも呆気ない」「常敏の積み重ねたドラマは何だったのか」という困惑と落胆の声が噴出しました。
一方で、透龍のキャラクター像に対しては、これまでの少年漫画に登場する巨悪とは異なる「現代的で乾いた悪」として熱烈に支持する声も存在します。作中で描かれた岩人間の生態は、母親の愛情を知らず、社会的な情動を持たず、ただ自然の摂理と寄生によって生き延びるという生物学的な冷淡さに貫かれていました。人間的な美学や誇りを一切持たず、自らの繁栄と新ロカカカの果実の利権独占だけを目的に淡々と人間を利用する透龍の姿は、感情を通わせることのできない「純粋な災害」そのものとして読者に深いトラウマを植え付けました。