本作が他のフードドキュメンタリーと一線を画す最大の理由は、伝統の守護神と呼ばれる「ボローニャ料理協会」が全面的なバックアップを約束したことだ。普段は部外者の撮影を一切拒絶してきた歴史ある協会の門戸が開かれた背景には、技術の途絶に対する強い危機感があった。
撮影隊は協会の厳格な監修のもと、門外不出とされてきた黄金比のレシピや、伝統的な木製台の削り出し工程までカメラを侵入させた。一切の脚色を排除した映像は、観客をまるでボローニャの古びた厨房の真ん中に放り込んだかのような、生々しい感覚へ引きずり込む。