夜顔(学名:Ipomoea alba)は、熱帯アメリカ原産のつる性一年草(原産地では多年草)です。日本における開花時期と季節は7月〜10月下旬で、盛夏から初秋にかけての夜間が見頃となります。
特筆すべきは、そのダイナミックな開花時間のメカニズムです。日没を迎える17時半から18時半頃になると、螺旋状にねじれていた大きな蕾が急速に緩み始めます。一般的な植物が数時間かけてゆっくり開くのに対し、夜顔はわずか数分から15分程度の短時間で一気に花弁を展開させます。この瞬時の開花現象は、タイムラプス映像を見ているかのような圧倒的な躍動感があり、園芸愛好家の間でも夏の風物詩として高く評価されています。
日没と同時に純白の花を開く理由は、その香りの特徴と受粉戦略にあります。夜顔の花からは、ジャスミンやバニラを思わせる濃厚で上品な甘い香りが放たれます。これは、暗闇の中で活動する夜行性の大型昆虫、とりわけスズメガ(蛾の仲間)を引き寄せるための進化の結晶です。月明かりに反射する純白の花びらと、風に乗って遠くまで届く強い芳香によって受粉確率を極限まで高めているのです。