1941年に公開された映画『ダンボ』のあらすじは、サーカス団の落ちこぼれだった子象が、唯一の理解者であるネズミのティモシーやカラスたちとの出会いを通じて自らのコンプレックスを最大の武器へと変え、スターへと駆け上がる感動的なサクセスストーリーです。
しかし、作品の細部には当時の時代背景を色濃く反映した数々の裏設定や象徴的な描写が散りばめられています。
代表的な例が、トラウマシーンとしても名高い「ピンクの象のパレード(Pink Elephants on Parade)」です。ダンボとティモシーが誤って桶に入った酒(シャンパン)を飲んでしまい、泥酔状態で見せる奇妙でサイケデリックな幻覚描写は、禁酒法解禁後のアメリカにおけるアルコールへの警鐘や狂気を風刺したものと分析されています。
また、ダンボに空を飛ぶ勇気を与えるカラスたち「ファット・クロウ」たちの描写には、1940年代初頭のアフリカ系アメリカ人のジャズ文化や社会的立場に対するステレオタイプが反映されており、後年の映像配信プラットフォームでは時代背景に関する注意書きが添えられるなど、大人の視点で観ることで幾重ものメッセージが読み取れる作品です。