インターネット上の旅ブログや短尺動画では、断片的な情報が切り取られ、実際の地理感覚や移動負荷を誤認してしまうケースが少なくありません。ここでは、旅程を組む前に把握しておくべき3つの盲点と誤解を是正します。
第1の誤解は、「岡山県内の観光地は1日で手軽に縦断できる」という思い込みです。地図上ではコンパクトに見える岡山県ですが、南の瀬戸内海から北の鳥取県境に位置する蒜山高原までは、南北で直線距離約100キロメートル以上離れています。高速道路(米子自動車道)を利用しても岡山市街地から蒜山までは車で約1時間半から2時間を要します。南部の倉敷と北部の湯原温泉を一般道で安易に同日のはしご計画に組み込むと、移動時間だけで大半を消費する事態に陥ります。
第2の誤解は、「雨が降ったら見どころが激減する」という懸念です。「晴れの国」というキャッチフレーズが強烈なため、雨天時の旅行を不安視する声がありますが、実態は異なります。大原美術館をはじめとする倉敷美観地区の重厚な蔵やレトロ喫茶、倉敷アイビースクエアの屋内施設は、雨に濡れた石畳とともに一段と風情を増します。さらに、児島地区のジーンズストリートに点在する体験工房や、瀬戸内市の「備前長船刀剣博物館」など、天候に左右されない専門性の高い文化施設が点在しており、岡山雨の日観光の選択肢は非常に充実しています。
第3の盲点は、「ご当地グルメ=高級フルーツと吉備団子だけ」という固定観念です。白桃やマスカットのパフェは確かに絶品ですが、岡山には全国屈指の重層的なB級・ご当地グルメ文化が息づいています。濃厚なデミグラスソースをとんかつにかけた岡山市の「デミカツ丼」、甘辛いソースとプリプリのホルモンが絡む「津山ホルモンうどん」、日生(ひなせ)港名物の牡蠣がぎっしり詰まった「カキオコ」、漆黒の特製ソースで炒める「えびめし」など、岡山ご当地グルメおすすめのラインナップは庶民的かつ個性派揃いです。