ピーター・パンとウェンディが結ばれなかった真相|原作が描く切ない結末

ピーター・パンとウェンディが結ばれなかった真相|原作が描く切ない結末

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ディズニーアニメーションのエンディングは、ロンドンの自宅に戻ったウェンディたちを両親が温かく迎え、夜空に浮かぶ黄金の海賊船の雲を見上げてダーリング氏が「わしも昔、あの船を見たような気がする」と呟くノスタルジックな幕切れを迎えます。しかし、原作小説『ピーターとウェンディ』の最終章(第17章)「ウェンディが大人になったとき」に記された原作小説の結末とその後の展開は、それよりも遥かに残酷で、深く心に突き刺さる現実を描いています。

ロンドンに留まることを決めたウェンディと弟たち、そして現実世界に連れ帰ったロストボーイズ全員は、ダーリング夫妻の養子となって学校へ通い、当たり前のように年を重ねていきました。ピーターは去り際、「毎年春の大掃除の季節になったら、君をネバーランドへ迎えに来る」と約束します。最初の年、ピーターは約束通り現れ、ウェンディを喜ばせました。しかし、翌年には現れず、その次の年にふらりと現れた際、ピーターはキャプテン・フックのことも、かつて自身を救ったティンカーベルのことすら綺麗さっぱり忘れていたのです。妖精の寿命は短く、ティンカーベルはすでにこの世を去っていましたが、ピーターは「妖精なんてたくさんいるから、誰のことだったか思い出せない」とあっけらかんと告げます。

その後、何年もピーターは姿を見せなくなり、ウェンディは成長して大人の女性となり、結婚して娘のジェーンを出産します。ある晩、明かりを消した子供部屋の窓から、かつてとまったく変わらない姿の少年ピーター・パンが音もなく舞い戻ってきます。ウェンディは床に崩れ落ち、震える声で告げなければなりませんでした。「私、もう飛べないの。大人になってしまったのよ」。

大人になり、女性の身体になったウェンディを見て、ピーターは恐怖と怒りに震えて泣き叫びます。ピーターにとって大人とは「かつて子供だったことを裏切った怪物」に他ならなかったからです。しかし、母ウェンディの寝息の横で、ベッドから起き上がった幼い娘ジェーンとピーターパンの出会いが訪れます。ジェーンは目を輝かせてピーターを見つめ、母がかつて語り聞かせてくれた物語の主人公に憧れを抱いていました。ピーターはウェンディを過去のものとして置き去りにし、今度は娘ジェーンを「春の大掃除のお手伝い」としてネバーランドへ連れ去っていきます。

物語の最後は、ジェーンが大人になって娘のマーガレットを産み、今度はマーガレットがピーターと共に飛び立つであろうという、果てしない世代交代の連鎖で結ばれます。「子供たちが無垢で、分別がなく、情け容赦のない心を持ち続ける限り、この物語はずっと続いていく」。バリが残したこの結びの言葉は、純粋さゆえの残酷さを読者の胸に刻み込みます。

前田 葵
著者

前田 葵

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。