英語を学ぶ日本人が最も陥りやすい罠が、人形とぬいぐるみの英語表現の違いを曖昧にしたまま「doll」を乱用してしまうケースです。英英辞典の定義を引くまでもなく、ネイティブスピーカーにとって「doll」とは原則として「人間の姿を模した玩具(human figure)」を指します。バービー人形、リカちゃん人形、あるいは陶器製のアンティークドール、さらにはホラー映画『チャイルド・プレイ』のチャッキーのような存在が即座に脳裏に浮かびます。
実際、北米の語学学校や海外駐在員のコミュニティで頻繁に報告されるのが、大人の日本人女性が「I always sleep with my doll.(いつもぬいぐるみと一緒に寝ているの)」と無邪気に語り、現地の友人から「大人が等身大の人形や不気味なマネキンと添い寝しているのか」と戦慄されたという笑えない失敗談です。綿や布でできたフワフワの動物のぬいぐるみを指して「doll」と単体で呼ぶことは、英語圏の語彙感覚では不自然極まりない表現にあたります。
ぬいぐるみを英語で言うときの注意点として、まず心に刻むべきは「布製で中に綿やペレットが詰まっているもの」に対しては、専用の語彙が存在するという事実です。相手に余計な誤解やホラーじみた妄想を抱かせないためにも、「doll」という単語を無反省にぬいぐるみへ当てはめる習慣は、今日限りでリセットする必要があります。