ネット上で最も多く検索され、多くの人が不安を抱くのが「湿性耳垢とワキガ体質の関係」です。結論から述べると、医学的な遺伝メカニズムにおいて、この2つには極めて強い相関関係が存在します。
ワキガ(腋臭症)の原因となるのも、耳垢腺と同じアポクリン汗腺です。ABCC11遺伝子の働きによって耳の中のアポクリン汗腺が発達している人は、同様にワキの下や乳輪、陰部周辺のアポクリン汗腺の数も多く、分泌機能が活発である傾向があります。形成外科や皮膚科の臨床データによると、腋臭症と診断された患者の約80〜90%以上が湿性耳垢であることが確認されており、耳垢の性状はワキガ体質を判定する最も簡便で精度の高い客観的指標として医療現場でも活用されています。
ただし、ここで絶対に混同してはならないのが、「湿性耳垢であること」と「周囲に不快感を与えるワキガ臭を放っていること」は同義ではないという事実です。耳垢湿ってる臭いの真相を解き明かすと、アポクリン汗腺から分泌される分泌液そのものは、分泌された直後は無色無臭です。その分泌物に含まれる脂質やアミノ酸を、皮膚に常在する細菌(コリネバクテリウムなど)が分解することで、初めて特有のツンとした臭いが発生します。
体臭の強さは、アポクリン汗腺の活性だけでなく、エクリン汗の量、皮脂分泌量、食生活(動物性脂肪の摂取頻度)、ストレス、入浴習慣、着用する衣類の素材など、複合的な環境要因に左右されます。湿性耳垢であっても適切な衛生管理を行っていれば体臭がほとんど気にならない人は無数に存在します。
また、湿性耳垢の日本人割合は、全国平均で約16%(およそ6人に1人)にとどまります。日本人の約84%が乾燥耳垢であるため、周囲と比較して「自分だけ異常なのではないか」と孤独な悩みを抱えがちです。しかし世界的な視野で見ると、アフリカ系やヨーロッパ系の人種では90〜95%以上が湿性耳垢であり、乾燥耳垢が多数派を占めるのは日本や韓国、中国北部など寒冷適応を果たした東アジア地域特有の現象に過ぎません。