取材の現場で真っ先に突きつけられたのは、「名古屋のカフェスイーツ=ボリューム重視のサービス精神」という過去のステレオタイプが完全に過去のものになったという事実です。名古屋市内を席巻しているのは、ミシュラン掲載店出身のシェフパティシエが手掛けるアシェットデセール(皿盛りデザート)の専門店や、愛知県三河地方の有機栽培果実、西尾産の超希少抹茶を惜しみなく使用したシングルオリジンスイーツ店です。
「オープンから2年が経過しても客足が途絶えない理由」について、栄の複合施設内で連日完売を続けるデザートサロンのマネジメント統括者は、取材に対して次のように語っています。
「かつては視覚的なインパクトだけで集客が成立していましたが、現在のお客様は味覚のレイヤー(層の重なり)と香りのストーリー性をシビアに見定めています。一口ごとの温度変化やペアリングするハーブティーとの相性まで計算し尽くさなければ、リピートはおろかSNSでの高評価も維持できません」
連日できる行列の背景には、店舗側が意図的に席数を絞り込み、注文を受けてから目の前で仕上げる「ライブエキシビション形式」を採用している構造的な理由があります。1時間あたりに提供できる皿数がわずか10〜12食に限られるため、希少価値が極限まで高まり、それがさらなる行列と口コミを呼ぶという循環が生まれているのです。