作劇上の観点から見ると、出木杉というキャラクターの存在理由は非常に深いメッセージ性を持っています。
もし『ドラえもん』の世界に嫌味な秀才や単なるいじめっ子しかいなければ、のび太がしずかちゃんと結ばれる結末は「悪者に勝った」という単純な勧善懲悪になってしまいます。しかし、作者の藤子・F・不二雄先生は、出木杉を「人格的にも欠点がない本物の人格者」として配置しました。
完璧な人格者である出木杉を登場させることで、作品は読者に根源的な問いを投げかけます。「人が人を愛し、人生を共にする上で本当に必要な資質とは何か」という問いです。条件面での完璧さだけが幸福の絶対条件ではなく、弱さを認め合い、互いを補い合える関係性こそが尊いという価値観を、出木杉との対比によって見事に描き出しています。