日本国内にも、世界に誇る強烈な発酵食品が存在します。「世界一臭い食べ物 日本」という文脈で必ず名前が挙がるのが、伊豆諸島の「くさや」と滋賀県の「鮒ずし」です。
くさやの臭さ比較:生の魚と焼き立てで数値が3倍化する理由
伊豆諸島で約400年の歴史を持つ「くさや」は、新鮮な魚(トビウオやムロアジ)を「くさや汁(くさや液)」に漬け込み、天日干しにした保存食です。くさや汁は、魚の体液と塩水に微生物が何代にもわたって棲みついた門外不出の発酵液です。
くさや 臭さ 比較を行うと、生の状態では447 Auと納豆と同等のレベルにとどまります。しかし、グリルで加熱した瞬間に1,267 Auへと跳ね上がります。熱によってくさや汁由来の酪酸やイソ吉草酸などの揮発性脂肪酸が一気に気化し、部屋中に充満するためです。独特の動物園のような臭気の後ろには、旨味成分であるグルタミン酸やイノシン酸が通常の干物の数倍含まれており、酒の肴として熱烈な支持を集めています。
近江の至宝「鮒ずし」が放つ乳酸発酵の力
琵琶湖固有種のニゴロブナを塩漬けにした後、炊いたご飯とともに長期間漬け込んで乳酸発酵させる「鮒ずし」。古代の保存食「なれずし」の原形を今に伝える生きた化石とも言える郷土料理です。
鮒ずしの臭気指数は486 Au。チーズのような芳醇な酸味と発酵臭が混ざり合い、初見では敬遠されがちですが、薄くスライスして地酒と合わせると、乳酸のキレと魚の旨味が調和した奥深い味わいを堪能できます。