産地を分かりにくくする手法に対して、「消費者を騙すような偽装表示ではないのか」という法的懸念が生じるのは自然なことです。日本の法制上、この表記はどのように位置付けられているのでしょうか。
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に基づく消費者庁の告示「商品の原産国に関する不当な表示」では、原産国の表示について厳格なガイドラインが敷かれています。原則として、一般消費者が商品を購入する際、「その商品がどこの国で製造されたかを正しく識別できること」が義務付けられています。
消費者庁の運用基準において、外国語による表記は「一般消費者に広く認知されている慣用表現」であれば認められます。例えば「MADE IN USA」や「MADE IN FRANCE」、そして「MADE IN CHINA」は、英語教育を受けた日本の消費者が一目で理解できるため合法と解釈されます。しかし、「P.R.C」単体での表記に関しては、「一般消費者が即座に中国製と認識できないおそれがある」と判断されるケースが一般的です。
そのため、正規の流通ルートを通る国内販売品においては、洋服の首元にあるブランドネームタグに「MADE IN P.R.C」と刺繍されていても、内側に縫い付けられた洗濯表示(品質表示ラベル)には「中国製」と日本語で明確に記載されています。店頭の紙タグや外箱のシールにも「原産国:中国」と補足印字することで、法的な原産国誤認の違反を回避する二重構造が取られています。