時計の針が狂ったのかと誰もが目を疑った。2018年、3歳牝馬アーモンドアイが叩き出した2分20秒6。従来のレコードを一気に1秒以上更新したあの走りは、東京芝2400メートルの概念そのものを根底から覆した。手綱を取ったクリストフ・ルメールの研ぎ澄まされたペース判断と、馬自身の超抜の瞬発力が見事に融合した金字塔である。
そして2023年、世界を震撼させたのがイクイノックスだ。逃げるパンサラッサが刻んだ超ハイペースを、涼しい顔で好位追走。直線に入ると、ルメールが軽く合図を送っただけで後続をあっという間に突き放した。持ったままの圧勝劇。ラスト3ハロン34秒台を切る異次元のスピード持続力は、まさに日本競馬史上の最高到達点と呼ぶにふさわしいパフォーマンスだった。