映画『テルマエ・ロマエ』の美術設計において、最も高く評価されたのが古代ローマパートの本格的な映像作りです。製作陣はCGによる合成を最小限に抑え、イタリア・ローマにある名門映画スタジオチネチッタ(Cinecittà)のオープンセットを大規模に使用しました。
このセットは、米HBOの大型歴史ドラマ『ROME[ローマ]』のために莫大な費用を投じて建設されたものであり、古代ローマの石畳、コロシアム風の建築物、神殿の列柱などが実物大スケールで保存されていました。阿部寛をはじめとする日本人俳優陣がローマ貴族や皇帝を演じても一切の違和感を生じさせなかったのは、この本物のロケーションと徹底した美術考証があったからに他なりません。
イタリアでの壮大なロケーションから、一転して日本の鄙びた木造温泉宿へ湯舟を通じてワープするという映像の落差こそが、本作が世界的なコメディ・エンターテインメントとして成立した決定的な要因でした。