アニメ『文豪ストレイドッグス』第1期の主人公・中島敦は、孤児院を追い出され、過去の虐待や否定の言葉に苛まれながら「自分には生きている価値があるのか」と彷徨う少年である。この中島敦の内面描写に、メジャーの切符を前に「自分は何のために歌うのか」を自問していたPONの心境が完全に重なり合った。
アニメ本編のエンディング映像では、月明かりの下で膝を抱える敦や、それぞれに重い過去を背負う武装探偵社の面々が描かれる。その背景に流れるサビのフレーズ――「名前を呼ぶよ あなたの名前を / あなたがあなたらしくいれるように」という直截なリリックは、視聴者の涙腺を容赦なく決壊させた。ネット上のレビューやファンコミュニティでは、「敦に向けられた言葉であると同時に、孤独な自分自身の名前を呼ばれているように感じて涙が止まらなかった」という声が相次いだ。
人間にとって最大の恐怖は、物理的な苦痛ではなく「自らの存在を誰からも認識されない透明な孤独」である。歌詞の中で歌われるメッセージは、成功や成果を褒め称える条件付きの愛ではない。息をして、そこに立っていることそのものを承認する「絶対的な存在肯定」だ。この祈りにも似たメッセージ性が、敦の再生ストーリーと見事に同期し、屈指の泣けるEDとしてアニソン史に刻まれることとなった。