生中継やSNSで瞬く間に拡散され、ファンの間で長年語り継がれるのが「始球式のハプニング」です。投球がバッターの背中を通過する大暴投になってしまったり、マウンドの段差で足を取られそうになったりと、ハプニングのバリエーションは多岐にわたります。しかし、なぜマツダスタジアムでは時に予想外のアクシデントが発生するのでしょうか。
プロの現場視点で検証すると、最大の要因はプロ野球専用球場ならではのマウンド傾斜と距離感の錯覚にあります。マツダスタジアムのマウンドは、日本屈指の硬さと傾斜を誇る本格的なクレイ仕様です。一般人が普段立つ平地とは全く異なり、足元が10インチ(約25.4cm)高くなっているため、ステップした前足の着地点が急激に沈み込みます。この傾斜に身体のバランスが対応できず、投球時に上半身が突っ込んでボールを引っかけてしまう現象が頻発するのです。
また、球団マスコット「スラィリー」との絡みもファンを歓喜させる定番の仕掛けです。打席に立つ打者役のマスコットが過剰にリアクションを取って倒れ込んだり、投手が投げようとした瞬間に茶々を入れて仕切り直しになったりと、エンタメ性の高いハプニングが計算されて演出されるケースもあります。ネット掲示板やSNSでは「放送事故か?」「いや、極上のプロレスだ」と大盛り上がりを見せますが、これらは球場全体の緊張を解きほぐす意図的なプロデュースの一環であることが大半です。
一方で、本気の芸能人が見せる涙の舞台裏もあります。数週間にわたって元プロ投手の指導を受け、肩を仕上げてきたゲストが、本番で緊張のあまりワンバウンド投球となり、マウンド上で悔し涙を流したエピソードはファンの胸を打ちました。華やかなマウンドの裏には、投げる側が背負う想像を絶する重圧が存在しているのです。