篠川桃音の演技力は、単なる「愛らしい子ども」の枠を完全に超越していました。彼女のキャリアを語る上で欠かせない代表作を振り返ると、監督やプロデューサー陣からなぜこれほど重用されたのかが明確に浮かび上がります。
最大の転機となったのは、2015年に放送された社会現象ドラマ『下町ロケット』(TBS系)です。阿部寛演じる主人公・佃航平の娘・利菜(本編では土屋太鳳が好演)の幼少期を務め、家庭の温もりと葛藤を幼い身体全身で表現し、視聴者の胸を締め付けました。同年にはNHK連続テレビ小説『まれ』にも出演を果たし、能登の豊かな自然の中で生き生きとした存在感を発揮しています。
さらに業界内で語り草となっているのが、2016年のNHK放送90年大河ファンタジー『精霊の守り人』での熱演です。綾瀬はるか演じる主人公・バルサの過酷な幼少期を演じきり、短槍を手にしたアクションの片鱗や、過酷な運命に立ち向かう研ぎ澄まされた眼差しは「恐るべき子役が現れた」と批評家筋からも絶賛を浴びました。その他にも『マザー・ゲーム〜彼女たちの階級〜』(2015年)や『高嶺の花』(2018年)など、名だたる脚本家の作品に立て続けに起用された経歴は、彼女が唯一無二の表現者であった確固たる証拠です。