映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』をはじめとする映像作品では、フェイ・フォンは「清廉潔白で政治的陰謀を打ち破る無敵のスーパーヒーロー」として描かれます。しかし、記録に残る実話の真相は、より人間味と哀哀に満ちたものでした。
映画に登場するヒロイン「十三姨(サーサムイー)」は完全な創作キャラクターですが、そのモデルとなったのは4人目の妻である莫桂蘭です。また、劇中で披露される華麗な空中連続キック「無影脚」は映画的演出であり、実際の無影脚は目くらましと連携した極めて実戦的で重厚な足技でした。さらに晩年には、商団事件と呼ばれる広東省の軍事衝突に巻き込まれ、生涯をかけて築いた拠点が一夜にして灰燼に帰すなど、映画のような完全無欠のハッピーエンドとは程遠い過酷な現実に直面していました。