茗荷谷駅を降りて春日通り沿いを歩くと、ひときわ目を引くのが独特な看板です。オレンジ色の地に力強いフォントで書かれた店名ですが、よく見ると先頭の「牛」の文字の上に白いシール(テープ)が貼られ、物理的に隠されて「丼太郎」になっています。
このユニークな外観が誕生した背景には、知財とコストにまつわる切実な事情がありました。破産管財人の管理下に入った旧会社の商標「牛丼太郎」をそのまま名乗ることが法的に難しかったこと、さらに看板全体を新品に架け替える莫大な資金が当時の再出発組にはなかったことから、苦肉の策として「牛」の部分だけを覆い隠す手法が取られました。
現在ではこの「白テープ看板」こそが、幾多の苦難を乗り越えてきた証であり、丼太郎を象徴するアイデンティティとして愛好家の心を掴んでいます。