ガッツ石松の俳優としてのキャリアを振り返ると、彼が単なる「元ボクサーのタレント」の枠を遥かに超越した、日本を代表する名優の一人であったことがよく分かります。
1978年の大島渚監督作品『愛の亡霊』に出演して映画界に足跡を刻むと、1989年にはリドリー・スコット監督のハリウッド映画『ブラック・レイン』に出演。名優マイケル・グラスや松田優作、高倉健と堂々たる共演を果たし、凄みのあるヤクザ役を怪演して世界的な評価を受けました。
さらにNHK大河ドラマ『徳川家康』(1983年)や『風林火山』(2007年)をはじめ、数々の連続ドラマやサスペンス作品に出演。飾らない素朴な父親役から、凄みのある裏社会の人物、人情味あふれる職人まで、幅広い役柄をこなす唯一無二のキャラクター俳優として確固たる地位を築きました。小手先のテクニックに頼らない圧倒的な存在感とリアリズムこそが、映画監督や脚本家たちを惹きつけてやまない最大の武器でした。