訪問看護の請求実務を巡っては、インターネットやSNS上で誤った情報や古いローカルルールが散見されます。現場で特に間違いやすいポイントを整理し、誤解を是正します。
誤解1:「医療保険で介入していた利用者が介護保険へ移行した場合は初回加算が取れない?」
これは明確な誤りです。同一の利用者が特別訪問看護指示書の期間終了や急性期治療の終了に伴い、医療保険から介護保険の訪問看護へ切り替わった場合、介護保険における新規の訪問看護計画書を作成して同意を得るため、介護保険の初回加算を算定できます。保険制度の体系が根本から異なるため、介護保険側から見れば「新たな介護給付の開始」と位置づけられます。
誤解2:「要支援から要介護への区分変更なら、必ず初回加算が取れる?」
これも条件付きの注意が必要です。要支援から要介護へ移行する場合でも、「2区分以上」の変更要件が課されます。「要支援2 → 要介護1」への変更は制度上「1区分」の変動とみなされる自治体解釈が一般的であり、初回加算の算定対象になりません。一方、「要支援1 → 要介護1」または「要支援2 → 要介護2」への変更であれば2区分以上の重度化に該当し、計画を新規作成することで算定可能です。
誤解3:「他法人のステーションから変更してきた利用者は無条件で初回加算が取れる?」
自ステーションにとって初めての利用者であれば、他事業所からの乗り換えであっても新規作成に該当するため算定可能です。ただし、同一月に複数の訪問看護ステーションがそれぞれ初回加算を請求することはできません。月途中でA事業所からB事業所へ変更した場合、どちらが初回加算を算定するかケアマネジャーを含めた調整が必要です。一般的には、その月に先に訪問を開始して計画書を交付した事業所が算定します。
【プロの結論】ステーション運営を強固にする算定チェックフロー
初回加算の算定漏れと返戻をゼロにするためには、属人的な判断を排除し、組織全体で共有できる「算定判定フロー」を確立しなければなりません。
- 契約時:利用者の過去2ヶ月(前月・前々月)の訪問履歴をカルテで自動照合する。
- 計画作成時:区分変更の場合は「前回の確定介護度」と「今回の介護度」の差分が2区分以上あるかを機械的にチェックする。
- 請求確定前:毎月3日までにケアマネジャーへ「初回加算の算定有無」を明記した実績予定表を送付し、給付管理票との完全一致を確認する。
これらの仕組みを徹底しているステーションは、報酬改定の荒波の中でも安定した収益基盤と高い法令遵守性を維持しています。