ネット上のQ&AサイトやSNSで最も頻発している誤解が、「自営業の妻も年収130万円以内に抑えれば社会保険料を払わなくて済む」という思い込みです。国税庁および厚生労働省の規定を照らし合わせると、会社員世帯と自営業世帯では適用される法律の土台が根本から異なります。
会社員の夫に扶養される妻の場合、健康保険法上の「被扶養者」となり、国民年金でも「第3号被保険者」として保険料の自己負担なしで基礎年金の受給資格を得られます。しかし、夫が個人事業主で国民健康保険・国民年金に加入している場合、国民健康保険法には「扶養」という区分自体がありません。世帯主である夫に合算して請求されるものの、妻自身にも加入者1人あたりにかかる「均等割額」が課されており、妻のパート収入が増えればその分「所得割額」が加算されます。
一方で、税金面(所得税・住民税)における扶養判定は会社員世帯と同様に機能します。妻がパートやアルバイトなど給与所得を得ている場合、基礎控除や給与所得控除を考慮した所得基準によって、夫側の確定申告で配偶者控除(所得48万円以下/給与年収103万円以下)または配偶者特別控除(給与年収103万円超〜約201.6万円未満)を適用できます。2024年から2026年にかけて議論が進む税制改正の動向を注視しつつも、「税金の壁」と「社会保険の壁」を混同しないことが最大の防御策となります。