容疑者とは何者か?被疑者や犯人との決定的な違いと逮捕後の真相

容疑者とは何者か?被疑者や犯人との決定的な違いと逮捕後の真相

容疑者とは何者か?被疑者や犯人との決定的な違いと逮捕後の真相についての真相をお届けします。

ニュースで連日耳にする「容疑者」という言葉ですが、六法全書をどれだけめくってもこの単語は条文に出てきません。刑事訴訟法における法律上の正式名称は「被疑者(ひぎしゃ)」です。

かつての日本の新聞やテレビ報道では、警察の発表資料に合わせて「〇〇被疑者」と報じるか、あるいは「〇〇(呼び捨て)」や「〇〇犯人」といった強い断定調で報じられるケースが少なくありませんでした。しかし、1980年代後半に起きた人権意識の高まりや誤認逮捕事件の反省から、日本新聞協会や民間放送連盟を中心とする報道各社は「まだ有罪が確定していない段階で犯人視する呼び捨て報道は改めるべきだ」という方針へと舵を切りました。その結果、1989年(平成元年)頃から「犯罪の容疑をかけられている者」を平易に表現した「容疑者」という呼称を統一的な報道用語として採用した経緯があります。

日常会話では混同されがちな「容疑者」「被疑者」「犯人」の決定的な違いは、以下の3点に集約されます。

1. 容疑者と被疑者の違い
実質的に指している対象は同一です。警察や検察、裁判所が作成する公的書類(供述調書や令状)では100%「被疑者」と表記され、マスコミが一般読者・視聴者にわかりやすく伝えるために用いるのが「容疑者」という住み分けです。

2. 容疑者と犯人の違い
「犯人」とは、実際にその犯罪を実行した実体を指します。法治国家において、誰が犯人であるかは裁判所の確定判決によってのみ法的に確定します。捜査機関が「この人物が実行した疑いがある」と見立てている段階では、あくまで「容疑者(被疑者)」に過ぎず、法的には犯人と断定できません。ここには、近代司法の大原則である「推定無罪の原則(有罪が証明されるまでは無罪として扱われなければならない)」が厳格に適用されます。

3. 参考人と被疑者の違い
警察署で事情聴取を受ける立場には「参考人」も存在します。参考人とは、事件の目撃者や関係者など、捜査に協力して情報を提供する立場の人を指し、容疑はかけられていません。ただし、参考人として任意聴取を受けている最中に重大な矛盾が生じたり証拠が見つかったりした場合、その場で「被疑者」へと身分が切り替わり、緊急逮捕や通常逮捕へ発展するケースも珍しくありません。

林 結菜
著者

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。