レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた『最後の晩餐』は、イエス・キリストが「この中に私を裏切る者が一人いる」と予言した緊迫の瞬間を捉えた宗教画です。画面中央のキリストを中心に、左右に3人ずつ計4つのグループ(計12使徒)が感情を露わにしています。
『ゴールデンカムイ』第79話の扉絵において、中央のイエス・キリストの位置に座るのはアシリパです。そして、アシリパを巡って食卓に並ぶ男たちの位置関係を比較画像のように突き合わせていくと、驚くべき符丁が浮き彫りになります。
キリストの右腕側に位置するもっとも重要なポジションには、杉元佐一が配されています。原画においてキリストの言葉に激昂して立ち上がるペテロ、あるいは最愛の使徒ヨハネの立ち位置をなぞるように、杉元はアシリパを守護する絶対的な存在として描かれています。テーブルに並ぶのは西洋料理ではなく、アイヌ料理のチタタㇷ゚や鍋料理。温かな湯気が立ち上る平和な宴の構図でありながら、原画のコンテクスト(=裏切り者の宣告)をそのまま下敷きにしている点に、作者の冷徹な演出意図が光ります。