海を渡ったイギリス民謡が、なぜ敗戦直後の日本で急速に普及したのか。そこにはGHQ進駐軍と日本の放送メディアが深く関わる、戦後復興期の人間ドラマが存在します。
1945年の終戦直後、日本に駐留したアメリカ軍兵士たちが、焼け野原の中で遊ぶ孤児や子どもたちと心を通わせるために口ずさみ、身振りを教えたのが最初のきっかけでした。言葉が通じない占領軍と子どもたちを結びつけたのが、シンプルな旋律と直感的なアクションだったのです。
その後、決定打となったのが放送メディアの力です。1947年に放送開始されたNHKのラジオ番組『うたのおばさん』において、音楽教育家の阪田寛夫氏や関係者らの手で親しみやすい日本語詞が付けられ、全国へ紹介されました。さらに昭和40年代以降、NHK『おかあさんといっしょ』などの幼児向けテレビ番組で繰り返し実演されたことで、保育手遊び歌の代表格として日本全国の家庭や教育機関へ完全に定着しました。