調圧水槽と呼ばれる広大な地下空間は、長さ177メートル、幅78メートル、高さ18メートル。重量約500トンの柱が59本そびえ立つ。この柱群は天井を支えるだけでなく、地下水圧によって施設全体が浮き上がるのを防ぐ極めて重要なアンカーの役割を果たしている。
仕組みは明快でありながら壮大だ。中川、倉松川、大落古利根川などの中小河川が増水した際、水は各立坑から地下へと流れ込む。全長約6.3キロメートルのトンネルを通ってこの調圧水槽に集められ、航空機用ガスタービンを改造した超大型ポンプによって、キャパシティに余裕のある大河川・江戸川へと一気に毎秒200立方メートルで強制排水される。住宅地を水害から守る最後の砦が、この精緻な排水ネットワークだ。