高額納税者番付が存在していた時代、多くの芸能人は多額の所得税に直面していました。日本の所得税は累進課税制度を採用しており、住民税と合わせた最高税率は現在でも最大55%(所得税45%+住民税10%)に達します。10億円の個人所得があれば、半分以上が税金として徴収される計算です。
こうした背景から、昭和後期から現代に至るまで、一定以上の売れっ子となったタレントがほぼ例外なく実践するのが「個人事務所(資産管理会社)の設立」です。所属大手事務所からのギャランティを個人ではなく法人で受け取ることにより、以下のような財務上のメリットを享受しています。
- 法人税率の適用:個人の最高税率(55%)に対し、法人税の実効税率は約30〜34%前後に抑えられる。
- 経費計上の柔軟性:衣装代、車両費、レッスン費、打ち合わせ飲食費などを法人の正当な経費として計上し、課税所得を圧縮できる。
- 役員報酬の分散:家族を役員に就任させ、給与を分散して支払うことで、世帯全体の税負担を軽減(所得分散効果)する。
取材現場において、ベテラン芸能マネージャーは次のように証言しています。「かつて長者番付に載ることはステータスでしたが、後半は掲載されること自体がデメリットでしかありませんでした。いかに個人所得を抑え、法人にキャッシュを残して不動産投資や資産運用に回すかがプロのマネジメントの常識となっています」。