『二十歳の約束』を語る上で、「ヒューヒューだよ!」と並んで現代のネットコミュニティでしばしば取り沙汰されるのが、牧瀬里穂の口から発せられた過激な俗語「カキタレ」というセリフです。
後年の切り抜き動画やネット掲示板(5chやYahoo!知恵袋など)では、「トップ清純派女優に下品な言葉を言わせた放送事故スキャンダル」のように誤認されるケースが散見されます。しかし、一次資料である当時の脚本を精査すると、まったく異なる背景が見えてきます。
物語の中で、不良グループと関わり自暴自棄になっていた純平(稲垣吾郎)が、自分を追ってきた夕子(牧瀬里穂)に対し「俺のカキタレ(都合の良い女)になる気かよ」と突き放します。それに対し、夕子が痛々しい覚悟を持って「カキタレでも何でもいい!」と真っ向から叫び返すクライマックスの場面でした。
当時若干25歳だった脚本家・坂元裕二による、若者の生々しい痛みや純情を極端な言葉でぶつけ合う演出技法であり、単なる悪ふざけではありませんでした。清純派の象徴だった牧瀬里穂が泥臭い激情を露わにしたことで、ドラマのドラマツルギーは最高潮に達したのです。