今回、現地の案内人とともに足を踏み入れたのは、観光パンフレットの定番コースから外れた芸予諸島の奥部だ。入り組んだ入江と切り立つ断崖、手つかずの照葉樹林が海へと落ち込む小さな無人島群。カヤックを漕ぎ出すと、潮騒と海鳥の羽ばたきだけが鼓膜を震わせる。ここには、従来の高速船や大型観光バスでは決して到達できない、生きた瀬戸内の鼓動がある。
この息をのむ景観を次世代へ引き継ぐため、行政と地域コミュニティが一体となった最新の保全計画が始動している。従来の「立ち入りを制限するだけの保護」から脱却し、海洋生態系のモニタリングデータを公開しながら、利用者の自主的な保全意識を促す仕組みだ。自然の回復力を損なわない範囲でのみアクセスを認めるこの試みは、次世代型エコツーリズムの先駆的モデルとして注目を集めている。