「本当に美味いネタを食べたいなら、店先の看板メニューだけで決めてはダメだ」——こう語るのは、小樽港のセリ場で長年競り(せり)に立つ地元のベテラン水産関係者だ。
三角市場で提供される海鮮丼のクオリティは全国的にも頭一つ抜けているが、中でも通が狙うのは「本日のおすすめ」やメニューに載らない数量限定の裏ネタである。水産業・鮮魚小売業のプロたちが毎朝セリ落とすウニ、イクラ、ボタンエビ、そしてトキシラズや生サーモン。朝一番に入荷したばかりの特上ネタを「気まぐれ盛り」として仕込む店舗が存在する。
競り人が明かす限定ネタ入手ルートの肝は、開店直後の店主や店員との会話にある。「今日の競りで一番仕上がりが良かったネタは何か」を素直に尋ねるだけで、メニューには書かれていない最高のカニ身や、極上の生ウニが丼に忍ばされるケースが少なくない。秘匿された極上グルメに辿り着くための、知る人ぞ知る極意だ。