そもそも、この刺激的なソースはいかにして世界的万能調味料へと上り詰めただろうか。発祥の地はタイ料理で親しまれる沿岸部の街・シラーチャー(Si Racha)だ。だが、これをグローバルなポップカルチャーにまで引き上げた功労者は、ベトナムからの移民であるデヴィッド・トラン氏に他ならない。
彼がロサンゼルスで創業したフイフォンフーズ(Huy Fong Foods)の緑のキャップと鶏のロゴが刻まれたボトルは、アメリカのレストランの卓上を席巻した。その熱狂的な足跡は、調味料として異例の熱量で描かれたドキュメンタリー映画『シラチャー』でも克明に記録されている。映画の中でも描かれる通り、カルチャー、音楽、ストリートフードと結びつきながら、世界の食品調味料産業におけるゲームチェンジャーとして君臨するに至ったのだ。