劇場公開を厳格な前提条件とするカンヌの伝統的なスタンスは、配信プラットフォームとの間に大きな摩擦を生んできた。とりわけNetflixのような世界的配信巨頭との関係をめぐる議論は、映画の定義そのものを問い直す試みでもある。
一方で、日本の映画ファンにとって環境は劇的に向上している。かつては劇場公開を長期間待つか、限定的なロードショーを追いかけるしかなかった受賞作やノミネート作が、現在ではU-NEXTをはじめとするストリーミングサービスを通じて、自宅のデバイスへ迅速に届くようになった。映画館での圧倒的な没入感と、配信による圧倒的なアクセシビリティ。この二つの輪が噛み合うことで、映画の鑑賞体験はより豊かで身近なものへと姿を変えている。