太平洋戦争の激化に伴い、神戸は大空襲に見舞われる。海軍大尉の父を戦地に送り出していた清太と幼い妹の節子は、空襲の火の海の中で母と離れ離れになってしまう。大火傷を負った母は、搬送先の救護所で兄妹に看取られる間もなく息を引き取った。孤児となったふたりは、西宮の親戚の家に身を寄せることになる。
しかし、物資が乏しい戦時下において、叔母との暮らしは次第に険悪なものへと変化していく。家財を売って米に換える生活の中で、働かず空襲警報が鳴っても防空壕へ逃げるだけの清太に対し、叔母の言葉は日増しに鋭さを増す。自尊心を傷つけられた清太は、節子を連れて叔母の家を飛び出し、池のほとりにある横穴の防空壕で二人だけの生活を始める決意をする。
夜になれば防空壕の中に蚊帳を吊り、捕まえてきた蛍を放って束の間の幻想に酔いしれるふたり。だが、現実の過酷さはすぐに押し寄せる。食料は底をつき、節子は極度の栄養失調へと陥っていく。清太は畑から野菜を盗み、空襲の混乱に乗じて火事場泥棒まで手を出して妹を養おうとするが、病状は悪化の一途を辿る。
終戦の知らせとともに日本の敗戦と父の戦死を知った清太は、絶望の中で最後の銀行預金を引き出し、冷たくなったサトイモや西瓜を節子に与える。しかし、もはや食べ物を口にする体力すら残っていなかった節子は、「お兄ちゃん、おおきに」という言葉を残して静かに息を引き取る。清太は妹の遺体を自らの手で火葬し、その骨片をドロップの缶に収めた。その後、自らも衰弱し、冒頭の三ノ宮駅で人知れず行き倒れるラスト結末へと至る。