法律の条文を細かく紐解くと、「殉職」という単語自体が独立した直接の法的名称として記載されているわけではない。行政実務の上では、国家公務員災害補償法や地方公務員災害補償法に基づく公務災害補償制度の枠組みの中で、特定の要件を満たした「特別公務災害」として扱われるのが一般的だ。事務職などの一般公務員が勤務中に遭遇した事故や疾病も広く公務災害と認定されるが、殉職にはそれらと明確に区別される決定的な要素が存在する。
最大の相違点は、生命の危険が本質的に伴う特殊な任務に従事している最中の死亡であるか否かだ。警察庁や防衛省、東京消防庁といった危機管理機関に所属する職員が、命の危険を賭して暴漢の制圧、火災現場への突入、あるいは国防の現場で任務を遂行し亡くなった場合、通常の公務災害とは一線を画する「特別公務災害」に認定される。単なる補償対象にとどまらず、名誉ある殉職として公式に顕彰され、二階級特進や公的な表彰の対象となる点が大きな特徴だ。