腹部を開いたとき、臓器は決して無秩序に詰め込まれているわけではない。日本解剖学会の最新知見に基づき、主要臓器の配置を整理してみよう。まず、体の右側に大きく居座っているのが人体最大の代謝器官である肝臓だ。右の肋骨の下から中央近くまでを占め、解毒や酵素の供給を担っている。そのすぐ下には、消化液である胆汁を蓄える胆嚢がひっそりと寄り添う。
一方、体の左側に位置するのが胃だ。食道からつながる胃は、左上の肋骨の裏側から中央に向かってJ字型に下垂している。「胃が痛い」と感じるとき、多くの人が中央のみぞおちを指さすが、実際には中心よりもやや左側に本体が存在する。さらにその奥深く、左背中側には血糖値をコントロールする膵臓が横たわっている。そして、腹部全体の下半分を縦横無尽に埋め尽くしているのが小腸と大腸だ。右下腹部の盲腸から始まり、時計回りにぐるりと腹部を一周して直腸へと至る。