DIY動画や一部のネット情報において、「コンクリート用ボンドやインスタントセメントを穴に流し込んで鉄筋を差し込めば植筋ができる」という誤った情報が散見されますが、これは極めて危険な誤解です。
一般的なセメントモルタルは硬化時に収縮(乾燥収縮)を起こすため、孔壁との間に必ず微細な隙間が生じ、構造耐力としての引張力はほぼゼロになります。構造用植筋には、硬化収縮が極めて少なく、コンクリートと鋼材の双方に強力な化学的接着力を発揮する構造認証を取得した専用接着剤が不可欠です。
また、「アンカーの定着長は深ければ深いほど強い」という過信も禁物です。一定の深さを超えると付着応力の伝達は頭打ちとなり、鉄筋自体の降伏耐力で破壊形式が決まります。無駄に大深度を削孔することは母材コンクリートを傷め、既存配管や鉄筋を切断するリスクを高めるだけです。設計に基づいた「適正な定着長」を正確に確保することが真の工学的正解です。